小学生の頃、私は全く泳げませんでした。 
小学校1年生の時は、体がひ弱過ぎて、プールに入ることを医者から止められていました。とにかく食が細くて、栄養状態が悪かったんだと思います。それもあって、低学年までは、顔を水につけることも嫌でした。プールが嫌で嫌で、授業でプールのある日は、雨が降らないかと待ち望みましたし、時々はお腹が痛くなったと言って、見学にしてもらったり、学校を休んだりしてました。
泳げない私は、プールに入っても、何もできないので、ずっとプールの手すりを触って立っているだけで、寒くて寒くて、地獄でした。
当時は、プールの授業も担任の先生が教えていました。泳げない児童に対しては、なんの対処もしてくれなかったのが、私の小学校時代です。

私は泳げないまま、中学生になりました。中学になると、体育の授業、つまり、プールの時間は、担任ではなく、体育の先生です。
その先生に中学1年の夏休みに入る寸前、なんと私は、「泳げない事、泳げるようになりたい事、泳ぎを教えて欲しい事」を伝えに行きました。
大人になった今の私からみても、この時の私は、偉かったなぁ、と、勇気があったなぁ、と、感心してしまうのですが、
なんで、私はその時そんなに積極的になれたのでしょう。プールなんてなくなればいい、と思っていたのに。今朝、夫にこの話をした時は、その理由が思い当たりませんでしたが、通勤の地下鉄の中で、ふと思い出しました。学校のどの先生から教えてもらったかは忘れましたが、「泳げないことは、命に関わる」と言われた事を。「泳げない事で死にたくない」と、思った事を。この夏、体育の先生は私のために夏休みのプール補講を組んで下さいました。

先生のお陰で、中学1年の夏休み、毎日のようにプールに通い、私はバタ足で15メートル泳げるようになりました。

いまだに、クロールの息継ぎはよくできないし、遠くから見たら溺れていると勘違いされそうな泳ぎですが、小学校の頃よりは、水が怖くなくなったかな。

中学校の体育の先生、T先生!ありがとうございました。お元気かなぁ。